ジンク・亜鉛(Zn)の効用
亜鉛酵素は100種類以上もある
体内には亜鉛(ジンクZinc-Zn)がないと働くことのできない酵素が100種類以上あります。その中には細胞分裂(新生)に必要なDNAポリメラーゼ、タンパク質の合成にかかわるRNAポリメラーゼ、活性酸素の消去に不可欠なSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)などの重要な酵素があります。
亜鉛不足では新しい細胞が作れない
私たちの体で盛んに細胞が作りかえられている(細胞分裂が繰り返されている)のは皮膚や粘膜であり、骨髄(血液)、生殖器、肝臓などの臓器です。○皮膚細胞の新生に支障を来たすと、肌は輝きを失い、傷が治りにくくなります。皮膚炎も生じます。亜鉛は美容のミネラルです。○毛髪は毛母細胞の分裂によって伸びていきますが、それが障害されると脱毛を生じます。亜鉛は育毛ミネラルです。○精子も細胞です。亜鉛の不足で男性の性能力は低下します。亜鉛はSEXミネラルと呼ばれます。○舌にある味蕾細胞が再生されないと味覚が傷害されます。口内炎も治りにくくなります。○妊婦に不足するとその影響は最も頻繁に細胞分裂している胎児の脳に及び脳水腫、無脳症、知能低下などをもたらします。
亜鉛不足ではタンパク質が作られない
体内のタンパク質の合成は主に肝臓で行われますがその際にビタミンB6と亜鉛が欠かせません。
亜鉛不足でビタミンAの代謝障害が起こり、発育不全が生じます。これは亜鉛が不足すると肝臓でビタミンAを運ぶタンパク質が合成されなくなるため、摂取したビタミンAが肝臓に貯蔵されたままになり活用できなくなるためです。
ビタミンB6不足の症状に亜鉛不足の症状と同じものが多いのは、互いにタンパク質の合成にかかわっているためです。亜鉛とビタミンB6を一緒に摂取する方法は有効です。
亜鉛には間接的な抗酸化作用がある
亜鉛そのものには抗酸化作用はありませんが、亜鉛を含む酵素SODは大量の活性酸素を処理(O2-→H2O2)します。活性酸素は細胞をさび付かせ生活習慣病やがんをもたらす元凶ですので、常日頃から亜鉛が不足しないようにすることが大切です。ただし、がんの場合の亜鉛の大量摂取には注意が必要です。亜鉛は正常な細胞と同時にがん細胞の分裂にも欠かせないミネラルだからです。
糖尿病では亜鉛が不足している
亜鉛は糖尿病と深いつながりのあるミネラルです。糖尿病ではすい臓の亜鉛が激減しており、傷の修復遅延、免疫力の低下、精力減退などの亜鉛不足の症状に見舞われやすくなります。
一方、血糖をコントロールするホルモン―インスリンはアミノ酸が連なった小さなタンパク質(ペプチドホルモン)です。合成のためには亜鉛やビタミンB6を必要とします。またインスリンには亜鉛が結合することによって働きが良くなります。
糖尿病はある意味で亜鉛が不足した病態です。積極的な亜鉛の補給をお勧めします。
受容体は亜鉛でVサイン
男性ホルモン、女性ホルモン、副腎皮質ホルモンなどのステロイド骨格を持ったホルモンはステロイドホルモンと呼ばれます。
性腺や副腎皮質から分泌されたステロイドホルモンは血液に乗って標的器官にたどり着きますが、そこには必ず受容体と呼ばれるホルモンの受け入れ口があります。受容体がなかったり、その機能に欠陥があるとホルモンは作用することができません。
ステロイドホルモン受容体は、亜鉛の周りをアミノ酸が逆U字型に囲んだ構造(ジンクフィンガーと呼ばれます)が2本並んだ格好をしています。
亜鉛が不足するとステロイドホルモンの指令が伝わらなくなります。
十分な亜鉛で、男は男らしく、女は女らしくなり、エネルギーの増強や炎症抑制作用が発揮されやすくなります。
亜鉛を多く含む食品
亜鉛はストレスで失われやすいミネラルです。
貝類、種子類、動物臓器などに多く含まれており、亜鉛を含んだサプリメントもいろいろ販売されています。日本人の亜鉛の1日の摂取量は平均5〜6mg、アメリカの推奨量は1日10mgです。
10/11 健康なんでも通信NO.36 健康増進医学研究所