しばらく歩くと脚にしびれ 早めの治療を
脊椎管狭窄症 手術なしで大半治る。
しばらく歩くと脚がしびれて動けなくなったが、しゃがんで一休みすると、再び歩けるようになった。
こんな経験のある人は腰部脊柱管狭窄症の可能性がある。高齢者に多い腰の病気だが、手術しなくても改善することが多く、早めに医師と相談することが重要という。
お茶の指導教室を開いていた女性Tさん(80)は5年程前から脚のしびれや腰痛に悩まされていた。お茶をたてる時の正座ができなくなり教室を断念。Tさんは引きこもりがちになり、室内の移動も困難になるほど症状が悪化した。
周囲の勧めで専門医に磁気共鳴画像装置(MRI)で検査してもらったところ、腰部脊柱管狭窄症だった。
圧迫されていた脊柱管を広げるための手術を受けた。今では以前のように歩けるようになり、「お茶の教室を再開できるかもしれない」と表情も明るくなった。
脊柱管とは背骨の中に空いている穴を指す。この穴の間を神経が通っているため、脊柱管が何らかの理由で狭まると、神経が圧迫された状態になる。そうなると、神経に酸素や栄養が行き渡らなくなり、脚のしびれや痛みを引き起こす。
脊柱管の狭まりは先天的な場合や事故が原因で起きることもあるが、年を取るとともに関節部分やじん帯など脊柱の周囲の組織が厚くなるのが一番の要因とされる。このため、発症するのは60歳以上の高齢者が圧倒的に多く、高齢者の腰痛のうち3〜4割を占めるともいれる。
この病気の代表的な症状は間欠性跛行と呼ばれる歩行障害。最初は普通に歩けるが、50〜300b進むと歩くのが困難になる。ただ、腰を折り曲げてしゃがみ込むと脊柱管の圧迫が一時的に解消するため、短時間の休憩で再び歩けるようになる。
症状が進行すると排尿や排便に支障を来したり、足先に力が入らなくなったりすることもあるという。
この場合は手術が必要になると専門家は説明する。とはいえ、「早めに病気に気付いて適切な治療を受ければ、手術をしなくても症状を和らげることができる」と千葉大学医学部整形外科の高橋和久・助教授は説明する。
治療法は主に三つ。一つは脊柱管を広げるストレッチなどの運動療法。ただし、体を反らせると逆に脊柱管が圧迫されてしまうため、専門家の指導を受けた方がよい。二つ目は圧迫されている神経の近くに麻酔剤を注入する神経プロツクだ。
三つ目は最近になって有効な治療法と注目されているプロスタグランジン製剤の服用だ。この薬には神経の血液の流れを改善する効果があるとされ、十年ほど前から使われるようになった。
患者の8〜9割はこうした治療法によって日常生活で不自由がなくなるほどに回復するという。
「高齢者は体力が衰えていることもあり、手術は最後の手段と考えた方がよい。」と高橋助教授。
治療法は確立されてきたものの、これといった予防法はないのが実情だ。
西島脊椎ウリニッウ(東京都調布市)の西島雄一郎院長は「ウオーキングなどの運動療法も一案だが、やりすぎるのはかえって逆効果になる可能性がある」と語る。神経の血管を収縮させないために喫煙を控見るなどの基本的な対策をとるしかなさそうだ。
この病気で見逃せないのが、Tさんのように高齢者の活動性が低下して健康を損ねてしまう恐れがあることだ。登山や旅行に出かけることを楽しみにしている高齢者が多いが、思うように出かけられなくなると生きがいを失ったと感じてしまう。高橋助教授は「症状が改善したら、適度に活動的な生活を心がけて。」と話している。
脊椎管狭窄症


