筋肉を動かすエネルギー源
筋肉動かすエネルギー源

乳酸の新しい常識

乳酸には「疲労物質=悪玉」のイメージがつきまとう。「アスリートの敵」と呼ばれることさえある。だが、最近のスポーツ科学では、乳酸は筋肉を動かすエネルギー源と考えるのが新しい常識だ。運動時のエネルギー代謝を研究する東大の八田秀雄助教授は「敵どころか、アスリートは乳酸と友達になると強くなれる」と話す。
 乳酸は、激しい運動で手っ取り早くエネルギーが必要な時、速筋と呼ばれるタイプの筋繊維が糖質を分解して、一気にエネルギーの元になるATP(アデノシン三リン酸)を作る際に発生する。
そのため、糖の搾りかすと考えられがち。悪玉イメージもそれが理由か。中学生のころの保健体育では「老廃物の乳酸は血液によって肝臓に運ばれて処理される」と習った記憶もある。
だが、今では乳酸の本当の役割が分かってきた。「乳酸は血液に出ても再び筋肉に入ってATPを作るために使われます」と八田助教授。
 乳酸をエネルギーに変えるのは、持久的な運動で活躍する遅筋と呼ばれる筋繊維。休むことのない心臓は遅筋の固まりだ。体の化学工場といわれるミトコンドリアが大量にあり、酸素を使って脂肪や糖からATPを常に作っている。
 ブドウ糖(グルコース)1 ̄分子から速筋は2個のATPLか作らないが、ミトコンドリアで完全に水と二酸化炭素に化学変化すれば、計38個のATPが得られる。
 乳酸を日常生活での疲労感の原因とする見方は根強いが、八田助教授は明確に否定する。「アスリートでもないのに、体にたまる乳酸を意織する必要などありません」。
 日常生活では基本的に大量の乳酸が発生しない。階段を何階も上るような場合に乳酸が多く出ることもあるが、安静にして30分もすればなくなってしまう。翌日まで乳酸がたまって疲れが残るなどありえないという。慢性的な疲労の原因は、実は科学的にまだ解明されていないのだ。
1/18 日経新聞より



中野薬房ナチュラルインフォメーション