心の抑圧が痛みを招く
現代人に腰痛が増えている
厚生労働省の国民生活基礎調査(1999)では、日本人が自覚している症状の第1位が腰痛、第2位が肩こり、第3位が関節痛と、筋骨格系の症状が続いています。
調査結果からは腰痛の日本人が1000万人近くいることになります。この腰痛患者の数は近年飛躍的に増大しており、アメリカでは腰痛患者が毎年5400万人も発生しているそうです。

なにが腰痛の原因なの?
腰痛は人間が二本足で歩行し始めたときからの宿命である?老化現象の一つ?筋力が低下するから?姿勢が悪いのが原因?重いものを持ったから?太りすぎ?骨の変形?いろいろ言われますが、二本足歩行の人類や老人がすべて腰痛を経験するわけではありません。
筋力の弱い人や体重の重い人が全員腰痛で苦しむわけでもありません。健常者の20〜30%に椎間板のヘルニア(飛び出す症状)が見られるそうですが、そうした人も腰痛を訴えてはいません。

すべての腰痛に見られるもの
誰もが静める共通点としては「腰痛の際にはあちらこちらの筋肉が緊張している」ということです。
実際、腰痛の治療では緊張した筋肉を緩めることが基本になります。
針灸、マッサージ、整体、カイロプラテック、物理療法、温浴、薬食療法など、緊張した筋肉を緩める方法にはいろいろありますが、いずれにしても筋肉が緩めば痛みは必ず軽減します。
評価は、その治療効果がどれくらい持続するかということです。

腰痛はストレス病?
腰痛が筋肉の緊張によって起こるのであればその原因を知って取り除くことが大切になります。
筋肉の緊張をもたらす原因には、筋肉への過剰な負担もありますが、寒さや冷え、栄養不良、アルコールや薬の飲み過ぎ、肝勝の疲労、頑張り過ぎ、心の中の葛藤などによる「交感神経め緊張」が大きく影響します。
新潟大学医学部・安保徹教授の研究では交感神経の緊張が続くとリンパ球が減り、顆粒球が増大することが分かっています。
顆粒球の寿命が尽きるときに大量の活性酸素が発生するため、顆粒球の増大によって血液がドロドロになってしまいます。血管は収縮し免疫力も低下します。
このとき筋肉は血流不足による酸素欠乏から痙攣や痛みを発生するのです。
痛みの発生に「抑圧された感情・怒り」が関わっていると気づいたのはジョン・E・サーノ博士(ニューヨーク大学医学部臨床リハビリテーション医学教授)です。
今、そのTMS理論が注目されています。

緊張性筋炎症候群(TMS)
TMSはTension Myositis Syndromeの略でサーノ博士は「痛みを伴う生理的な変化」と定義づけています。わが国では「緊張性筋炎症候群」と訳されています。しかし筋炎といっても筋肉に炎症があるという意味ではなく、筋肉内に何らかの変化がある、といった意味です。
TMSには腰痛だけではなく首、肩、背中、手首、足首、ひじ、ひざなど多くの痛みを伴う症状が含まれます。
心が痛みの発生原因となっている
なぜ腰などに痛みが生じるのか?という疑問に対し現代医学は必ずしも明快な答えを用意していませんでしたが、サーノ博士は「心と痛みの関係」に気づきTMS理論を組み立てました。
「筋骨格系の疾患を持つ人には心身症と呼ばれる病態が共通点としてあり、多くは緊張性頭痛、偏頭痛、胸焼け、胃酸過多、食道裂孔ヘルニア、胃十二指腸潰瘍、大腸炎、過敏性大腸症候群、疫撃性大腸、花粉症、喘息、前立腺炎、湿疹、乾癬、蕁麻疹、にきび、めまい、耳鳴り、頻尿、反復性膀胱炎、易感染性といった健康上の問題を経験している。」というのです。
そしてその背景に気づかない「抑圧された感情・怒り」が存在することを指摘しています。



参考図書:「腰痛は<怒り>である・心と痛みの不思議な関係」長谷川淳史著、春秋社刊

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