一酸化窒素(NO)
血管の筋肉を弛緩させるラジカルNO
血管の弛緩(拡張)因子としてNO(nitric oxside一酸化窒素)が発見されたのは1990年のことです。
NOは血管の内側(内皮細胞)や白血球(好中球、マクロファージ)でNOシンターゼという酵素によってアルギニンから作られます。
NOはグアニル酸サイクラーゼを活性化させて細胞内にサイクリックGMP(C−GMP、環状グアノシンーリン酸)を増加させ、代謝を活性化すると同時に細胞内Ca++濃度を低下させ血管(筋肉)を弛緩させる物質です。
しかし一方でNOはフリーラジカルでもあるため、炎症や異物の除去の目的で白血球などが高濃度にNOを放出する状況下では、ラジカル(過激分子)としての傷害性を発揮することになります。
ここではまず血管の内側で穏やかに作られるNOの効果から見てみることにします。
血流の増大に不可欠の物賞NO
NOによって血管の平滑筋が弛緩して血管が拡張されると、血圧が低下し血流は増大します。
この作用は動脈だけでなく静脈やリンパ管にも及びます。
腎臓では血管平滑筋だけでなく腎臓交換神経中枢に作用して血管を弛緩し血圧を低下させている、という報告もあります。
狭心症の治療煮に用いられるニトログリセリンは体内でNOを生産して冠状動脈を拡張し、心筋への血流量を増やす薬です。
ED(勃起機能低下Erectile Dysfunction)の治療薬バイアグラはNOの作用?持続性を高め、ペニスの海綿体平滑筋を弛癒させて血液を海綿体に送り、勃起を起こさせる薬です。
いずれにしてもNO関連の生成や代謝の経路が阻害されるとNOの血管拡張作用が発揮されず、血管は収縮して血行は不良になります。
この時、せっかく作られたNOをN02やN03に変えて機能を奪ってしまう代表選手として上げられるのが活性酸素02 ̄です。抗酸化力を高めることはNOを活性酸素から守り血流をよくする上で重要になります。
NOの働きには血小板の凝集抑制、白血球の血管壁への付着(炎症の引き金となる)を抑制、インスリン分泌の促進、エイズとの関連など多くの作用が報告されています。
傷書物賞としてのNO
炎症を起こしている部位や白血球が仕事をしている周辺では、NOは単に血管を広げるだけでなくマイナスに働くことも多くなります。
白血球は02 ̄やNOを放出しながら細菌やがん細胞を攻撃するわけですが、このとき02 ̄とNOが合体して障害性の強い最強のラジカルONOO ̄(ベルオキシニトライトperoxynitrite)が生み出されます。
02 ̄、NO、ONOO ̄などのラジカルは周辺の血管や組織を破壊して炎症や発熱を生じます。
各所の抗酸化物は過剰なラジカルの消去に役立ちますし、おなじみの副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)はこうしたラジカルを消去して炎症を抑制します。
その他の血管拡張物賞
血管拡張システムはNOとともにアラキドン酸から作られるPGI2(プロスタグランジンT2)が深く関わっています。
PG12は細胞内のアデニル酸サイクラーゼを活性化させてサイクリックAMP(C−AMP、環状アデノシンーリン酸)を増大させて血管を弛緩させます。
NOとPGI2は互いに作業を分担したり共同したりして血管の拡張に努めますが、血管が拡張し過ぎるとそこに痛みが生じます。
また血管が収縮した反動で血流を良くするために血管拡張物質が作られて痛みが発生することもあります。
(参考図書「NOの医学・一酸化窒素の生理作用と薬理作用」大柳善彦著・共立出版社刊)
健康なんでも通信NO.58健鷹増進医学研究所



