漢方では、「汗は心の液」といい、心の臓が悪い場合などに出る冷や汗などを指します。
このような病理的な発汗の他に、生理的な発汗は環境の変化などに応じた体温調節という意味から、重要な役割を果たしています。
汗は、汗腺の周囲にある毛細血管から漏出した血液中の水分やナトリウムイオン(Na+)などの電解質が汗腺に入り、そこで一部の電解質が再吸収された残りが、交感神経の働きによって体外へ分泌されます。通常、体温調節に関わる汗のNaCl濃度は血液よりも低く保たれていますが、大量の汗が出るときや発汗機能の衰えた人は、汗腺でのNa+の再吸収が減少するため、汗のNaCl含有量は血液の0.9%に近づく結果、体内から多量の電解質が失われます。
通常、1日の汗の分泌量は約600mlですが、夏場や運動時には4〜10ゼにもなります。夏のマラソンなど高い気温の下で運動を長い時間続けている場合、多いときには1時間に1〜2Lもの発汗があります。
脱水症状が進むと、食欲低下や体温上昇だけでなく、手足などの筋肉のけいれんが起きやすくなるなどさまざまなトラブルが生じます。体重の2〜3%の脱水状態で、運動能力の低下や血液ゐ濃縮が始まり、4〜5%では運動困難や熟疲労に陥ってしまいます。体重60kgの人の場合、2.5L前後の脱水で動けなくなる計算になります。
脱水に伴う症状としては、疲労感、倦怠感、頭痛、めまい、息切れ、低血圧などの症状があらわれます。
心拍数も上昇して心臓への負担が大きくなり、体重の1%の脱水で、心拍数は1分間に5〜10回程増えるといわれます。さらに、血液が濃縮され、血が固まりやすくなります。
◎脳梗塞
寒い冬に多いといわれている脳梗塞ですが、夏にも多く発生します。脳内の血管に血栓が詰まって生じる脳梗塞は、1日の中では夜間から早朝にかけて発症しやすくなります。早朝に多いのは、就寝中は水分をとらないため寝汗による脱水が関係して、血が固まりやすくなるためで、特に夏は寝汗を良くかくなど脱水傾向に陥りやすくなります。
◎「エコノミークラス症候群」
脱水状態と血流の低下が関係して生じると考えられているのが、「深部静脈血栓症」、いわゆる「エコノミークラス症候群」です。
飛行機の密閉された機内は約0.8気圧程度に保たれ、標高約2500mの富士山の五合目と同じ状態で、空気中の酸素濃度も地上の約80%です。
さらに、機内の湿度は20%以下となり、サハラ砂漠よりも乾燥した状態になっています。
この状況下では、不感常泄による皮膚からの水分放出量が増えて、水分が失われて血液の粘性が高まり、気圧の低い状況で血小板が凝集しやすくなっています。きらに航空機内で内で長時間体を動かさずにいる結果、下半身の血流が悪くなるなどの条件が重なると、血栓が生じます。
それが、静脈にそって体の上の上方に運ばれて、肺動脈に詰まったのが「深部静脈血栓症」で、激しい胸痛、呼吸困難、発汗などを呈し、心筋梗塞に類似した症状を示します。
飛行機で長時間移動した後2〜4週間後の静脈血栓塞栓症の危険性は、陸路の約4倍と言われていますが、これは飛行機に限ったことではなく、高脂血症、糖尿病などの危険因子がある人は、日常の暮らしの中でも起こりうる可能性が高いことが指摘されています。
発汗過多と血栓症の危険な関係


