4,押して感じるところが、治療のツボ









4,押して感じるところが、治療のツボ
 
 針とか灸、指圧などで手当てする「ツボ療法」をしようとするには、当然ながら「ツボ」の知識が必要だと思われますが、家庭でする自己治療(セルフメディケーション)の範囲では、それほど難しく考える必要はありません。
 治療を職業とするわけではなく、あくまで実用を本位とするわけですから、理屈抜きでなるべく簡単で、効果のあがる方法であればよいわけです。
 私たちが、ふだん使う言葉のなかにも、「ツボを心得た」とか「ツポにはまった」という表現があり「要領を得た」とか「急所、かんどころを押さえた」などの意味で使われていますが、「ツボ療法」も「要領を得た」方法でお楽しみください。
 さて、「ツポ」は、身体の「急所」であり、指頭で軽く押さえた場合「あッ、痛い!」とか「あッ、そこそこー」と感じることが多い部位をいいます。
 もちろん全部の「ツボ」が、そう感じるわけではありません。
 皮膚面を指の頭で押さえてみたり、さすってみて、「あッ、痛い!」(圧痛)というほどではなくても、何かコリコリした硬い感じ(硬結)とか、穴があいたようにくぼんだ感じ(陥下)、張って硬い感じ(緊張)、冷えたり、ほてる感じのする部分、斑点や小さな丘疹があるところは、「ツボ」と考えてもよいでしょう。
 押さえられて「あぁ、いい感じー」という部位も「ツボ」の可能性があります。
 また、「ツボ」は電気的に見ると、周囲の皮膚面に比べて、電気抵抗が低く、電流が通じやすい部位であり、この性質を利用して、ツボの位置を探索したり、電気的に刺激する器具も市販されているほどで、「ツボ」と電気の関係は無視できません。
 また、今まで述べたようなことが、現在感じられなくても、このほかに大昔からの経験を積み重ねた結果、「ツポ」になる部位がたくさんあることが知られています。
「ツボ」のことを正式には、「経穴(けいけつ)」といいます。
 その一つ一つを見ると、何の関連もなく、バラバラに点在しているようにみえますが、古代の中国人は、長い年月をかけて、数多くの経験を積み重ねているうちに、前にも述べたように、私達の身体が正常に機能するため、エネルギー(気、血)を供給する循環系(経絡)があると考え、その経絡上で太古から使用された「ツボ」を「正穴」と呼び、その数は一年の日数と同じ「365」とも、「354」ともされています。
 この伝統的、理論的な経絡上の「正穴」に対して、その後、経験的、実践的に新しく発見された「ツボ」が、「奇穴」です。
 阿是穴(あぜけつ)、畦穴(けいけつ)、天応穴(てんおうけつ)などとも呼ばれ、専門家にも「正穴」に劣らずよく用いられます。
 阿是穴の阿是とは、阿(アァ)、是(コレ)だとか、田の畦(あぜ)の交差点を意味するとかいわれますが、定かではありません。
その数は、正穴をはるかに上回っているため、一千をこえるでしょう。
正穴、奇穴を合わせれば「ツボ」 の数は身体じゅうがツボだらけになってしまいそうで、考え始めたら、どのツボを選んだらよいかに迷って、頭が痛くなりそうです。
 しかし家庭での自己治療としてのツボ療法には、難しい理論はいりません。
 おおよその部位の見当をつけてから、その付近を指先で押してみて、前に述べた要領でツボをみつければよいのです。
 しかし、いざ自分で試してみようと思っても、@どのような時に……、Aどのようなものを使って……、Bどのように手当をするのか…が分からないという方が多いようです。
 特に、そのなかでも、身体のどこに針を刺したり、お灸をすえたらよいのだろうか…が問題になります。
 つまり、針を刺したり、お灸をすえたり、指圧をするのに、いちばん効果的な部位である「ツボ」を知っていないと、せっかくの治療も無駄になってしまうかもしれません。そう考えると、最初から「ツボ」を知らないから「ダメ」だ、と自分勝手にきめこんで、針や灸、指圧などの自己治療を、あきらめてしまう人も少なくないようです。
 しかし、ツボ療法は東洋医学の専門家の立場からいうと、前にも述べた「経絡」(けいらく)という難しい理論によることになっていて、素人むきできありません。
一般の人としては、そう難しく考えずに、まず、本書に記載してある項目の中から、部位別、または症状別に自分の症状にピッタリ合うと思われる「ツボ」を選びだして、そこに「手当て」をすることで、十分に効果があげられます。
「習うより慣れろ」という言葉がありますが、何回か試していると、どなたにもその「コツ」がつかめるようになってくるものです。
 しかも、いちばんよく知っているはずの自分の身体で試すわけですから、体調の変化に対応した「手当て」ができるようになるのは当然でしょう。
 毎日、自分の身体に触れてみるのを習慣にして、「こり」や「痛み」のあるところを見つけたら、早め早めの「手当て」をしてください。
 ツボ療法を知らないころにはまったく気づかなかった、「こり」や「痛み」が出やすい足とか、腕、頭、耳などのツボを忘れずにチェックするのが大切です。
「肩がこる」「腰が痛い」といって肩だけご腰だけにしか手当てをしない人が多いのですが、必ずある「隠れツボ」を見つけるのがコツ。
 特に、最近新しく発売されている貼付型のはり治療器とか、指圧代用器具、温灸器具などを使えば、熱くも痛くもなく、安全に簡単に使えて、すばやい効き目が得られることが多いのですから、あなたもぜひ試して欲しいものです。