2、古くて新しい針灸ツボ療法




2、古くて新しい針灸ツボ療法
 
 
「ツボ」?〜……と言われて、「ア…、針(はり)とか灸(きゅう)、指圧や按摩をするときのツボのことか」と知っている方は、最近の若い人には少ないようです。
 それどころか、ツボを知っているはずの年配の人でも、お灸や針……と聞くと、「熱い!古くさいー・、恐ろしい!、痛い!」等と反射的に顔をしかめる人が少なくありません。
 子どもの頃から、「悪いことをすると、痛い針や、熱いお灸をすえるゾー・」と大人から脅かされた記憶が頭の中に残っているからでしょうか。
 それでいながら、その「恐ろしい」という、お灸や針をしている場面や、もぐさ、針などを実際に見た人が少ないのですから、不思議な話です。
 見たことのない幽霊を、「怖い!怖い!」と言っているようなものでしょう。
 実際に、専門家の針やお灸の治療を受けてみると、そのような先入観とは違って、思っ
ているほど痛くもなければ、熱くもありません。
 それどころか、一種独特の快感が感じられるという人もいるほどです。
 「ツボ療法」は「漢方薬」と並んで、苦から東洋医学的治療法の代表選手として、おおぜいの人の健康を守ってきたことは、今更いうまでもありません。
 最近の健康法ブームでは、あの手この手の健康法が、スーツと現われてはパーツと消えることを繰り返し、皮肉にも「健康法」そのものの寿命が短いことを証明しています。
 しかし、中国に始まって以来、長い伝統をもつ治療法、針、灸の「ツボ療法」とか「漢方薬療法」などは、その有効性から、将来にわたってますます盛んに利用されることが期待されているものです。
 まさに「古くて新しい」永遠の治療法といえるでしょう。
 その歴史を振り返ってみると、薬物療法である「漢方薬」を始め、「ツボ」に関係のある針灸治療、導引(按摩)療法などは、今を去る二千年以上の昔、中国の地にはじまり、長い歴史の中、独特の理論で体系づけられた医術です。
 わが国には朝鮮半島を経由して、紀元4、5百年頃に伝えられ、日本独自の発展を遂げながら、西洋医学が輸入された十六世紀から明治時代にかけて、約千年以上もの長い間、わが国医療の主流を形成してきました。
 しかし、明治時代になって、政府の方針で針灸は全面的に退けられ、西洋医学だけが公認の医学であるとされたため、単なる民間療法として扱われる不遇の立場におかれたものの、最近はその効果が再認識されて脚光をあびつつあります。
 特に、一九五八年、中国での針麻酔が発表されて以来、爆発的に世界でも注目されるようになり、研究が盛んになりました。
 今では多くの病院や大学などで研究が行われるようになり、科学的な解明も急速に進んでいるのが現状です。
 また、その間、日本が目覚ましい経済的発展を遂げるのと並行して、日本人の平均寿命はぐんぐん伸長して、「人生八十年」時代を迎えるようになりました。 人類長年の悲願であった「不老不死」には及ばないものの、「不老長寿」の夢は達成されたかのようにも思われたのです。
 ところが皮肉なことに、その一方では「寝たきり長寿」とか老人性痴呆症になる人が少なくありません。
 寿命だけがのびても、病院のベッドの上で寝たままとか、痴呆症の状態で何年も過ごすのは、ご本人はもちろん、家族の方にとっても実につらいことです。
 だれもが「好きこのんで」そうなるわけではありませんが、なるべく若いころから健康に注意して、そうならずにすませたいのが人情というものでしょう。
「健康で長寿」を維持するためには、毎日の生活に、東洋古来の知恵である「ツボ療法」を取り入れて「養生」に努めてほしいものです。