A熱くなく、跡のつかないお灸用品        



2.熱くなく跡のつかないお灸用品
 
 前にも述べたように「お灸」というと、必ずといってよいほど「熱い!、恐ろしい!、 跡がつく!」と考えている人は少なくありません。
 しかし、現代の日本人にそのようなことをしても嫌われるだけですし、恐ろしいと思いながらお灸をすえたのでは、効果もあがらないはずです。
もともと、お灸によるツボ療法の効果は、皮膚に対する温熱刺激の効果を利用したもので、灸をすえると、その熱刺激が血行を良くし、血液内に免疫物質を生産し、抵抗力を増し、身体の機能を改善すると考えられます。
 昔から一般的に行われてきたお灸の方法は、大別して、適量のもぐさを皮膚上のツボの位置におき線香で火をつける方法と、皮膚にニンニクや味噌などを置いた上にもぐさをのせて点火する方法でしたが、もぐさの量加減が難しいこと、不安定で火傷しやすいなど、未熟のための失敗が「熱い、恐ろしい…」という先入観を作ったのでしょう。
 そこで、現在市販されいるお灸用品の多くは、もぐさの熱量を一定にし、皮膚に安定させ、火傷を防ぐためのさまざまな工夫がされています。
 例えば台座灸とか、インスタント灸といわれるものは下図のように、皮膚に当たる台座部分に装着テープをつけ、上部には定量のもぐさを固定、台座を通して熱が皮膚に到達する構造です。
 注意しなければならないのは、熱いのを我慢しないことです。
 熱いのを我慢していると、水泡ができ跡が残ることがあります。
 特に、顔面にすることは厳禁です。
 また、当たり前のことですが、いくら小さくても、火気を取り扱うのですから、「火の用心」を忘れてはいけません。
 最近では、これらを改良し、遠赤外線を放射する台座の上でもぐさを燃焼させるものが発売されており、熱量も大きく、前者のように、皮膚面がチリチリする感じが少なく、好評を得ています。
 しかも、お灸をすえる部位別に、皮膚にかかる最高温度が、肩用は60度、腰用は55度、ひざ用は58度を目標に設定してあり、点火して台紙ごとツボの位置に貼り、使い終わったら台紙ごと捨てる大変使いやすいものになっています。
 肌にやさしく、気持ち良い温かさが続く現代のお灸です。
 次に述べる「中国温灸」とともに、症状に応じて適材適所使い分けして、お灸に親しんでください。
 中国で製造された棒状の薬草入りもぐさ「棒灸」を、日本製のおわん型の温灸器具に差し込み、点火してツボの位置にあてて温めるのが「中国温灸」です。
 製造の本家本元である中国では、温灸器具を用いず「棒状」のままのもぐさに点火し、ッボの部位にかざして、熱を加えるのが普通の使い方です。
 熱ければツボから離し、熱くなければ皮膚に近づけて熱さを加減します。
 日本では、専用の温灸器具を使うため、間違って火が皮膚につくことが防止できるとか、火の高さを一定に保てる、温灸器具の中にこもった温熱が、棒灸単独で使った場合よりも、ずっと効果的であるなどの特徴があります。
 前にも述べたように、同じ中国産の棒灸でも、もぐさだけで作られた製品と、各種の薬草(肉柱(にっけい)、ビャクシ、乾姜(かんきょう)、独活(どっかつ)、細辛(さいしん)、乳香(にゅうこう)、丁香(ちょうこう)、木香(もっこう)、雄黄(ゆうおう)、没薬(ぼつやく)、川椒(せんしょう)など)がふくまれている製品があり、薬草入りの方が最近評判の芳香療法(アロマテラピー) を兼ね、効果的であることはいうまでもありません。
「中国温灸」の使い方を餅を焼く場合にたとえると、強火で焼いた餅は表面だけ焦げて、中は固くそのままですが、弱火でゆっくり焼くと、芯まで焼けるのと同様、「中国温灸」をツボの部位にあてて、すぐに熱くならない程度の高さから、時間をかけてだんだんと温めていくのが、要領を得たすえ方です。