中野薬房健康情報コーナー

不妊症                 


妊娠のメカニズム

何度も病院に行き、本も読まれたであろうあなたに、いまさら妊娠のプロセスを解説するのは、読むほうにとってもわずらわしいでしょう。それなのにあえて(といっても簡単にしておきますが)繰り返さなければならないのは、不妊のかたが案外、人間の妊娠のプロセスを正しく把握していらっしゃらないからです。
もう少し正しく理解されていれば、あるいは妊娠されていたかも……
排卵期にセックスをすれば必ず受精卵となるのか。
受精卵ができれば必ず子宮の壁に着床するのか。
着床すれば必ず妊娠↓出産のコースをたどるのか。
みんな「ノー」だということがおわかりのかたは非常に優秀と言えます。

妊娠が成立するまでの九つの関門
妊娠が成立するまでには、どうしても通らなければならない関門がだいたい九つあります。
そのどれもが「異常なし」で初めて成立するのですから、そのうちの一つが異常または不良であるときは妊娠しません。また、非常に妊娠しにくいということが言えます。
別の考え方をすれば、これらの関門で不良因子がチェックされ、淘汰され、すべてに合格した場合にのみ生まれ出ることを許される、ありがたい関門であるとも言えましょう。でなかったら、生まれてすぐ死んだり、母体が危険になったり、障害のある子が生まれたりする例が多くなるでしょうから。絵を見ながら、一つ一つ考えてみることにしましょう。
(1)排卵 
第一の条件としてあげられるのが、成熟した卵子が卵巣から排卵されることです。
(2)卵子の卵管内捕捉
 卵子は精子のように自分で泳ぐ力はありません。ボンとほうり出される
と、ただよっているだけです。それが卵管の吸引の作用で卵管内に吸い込まれ、卵管の中を運ばれていきます。卵管の先はイソギンチャクのように収縮を繰り返していて、実にうまく卵子を吸い込むようにできているのです。
(3)精液の腺内射精
 健康な精子がたくさん含まれている精液が膣の中に射精されること。普通は性交によって射精されます。
(4)健康な精子
 精液内の精子が健康で、十分な数があることはたいせつな条件です。
(5)精子の子宮内上昇 
 精子は頚管粘液の中を元気に泳ぎ上って子宮脛内に入ります。精子は酸に弱くアルカリに強い性質を持っており、膣はふだんほ酸性が強いのですが、このときばかりは頚管粘液がアルカリ性になって精子が通りやすいようになっており、子宮口も開いて待ち受けています。すべて自然にオイデ、オイデをしている状態になっているのですから不思議ですね。
(6)卵管内での受精
 子宮内から卵管のほうへ泳ぎ進んできた精子の騎士は、待ち受けている卵子の女王に殺到します。しかし女王の選択眼は厳しく、きわめて健康で優秀な精子1個のみを迎え入れ、受精が成立します。このとき1個の受精卵が発達の段階で2個の受精卵に分割、分かれたものが一卵性双生児となり、排卵が2個あってそれぞれ受精したときは二卵性双生児となるのです。
(7)受精卵の子宮内輸送
 受精卵は細胞分裂を繰り返して卵管内から子宮に向かって運ばれていき、子宮脛にたどりつ
きます。たまたまそそっかしい受精卵は卵管に着床することがありますが、これは子宮外妊娠ですから、やがて卵管流産したり卵管が破裂してしまいます。
(8)着床 精子と卵子の旅はここが終点です。子宮の壁(内膜)は栄養たっぷりのベッド作りをして待っていましたので、ここへ着床して、初めて妊娠が成立したと言えます。
(9)受精卵の子宮内での成育 終着駅に着いた受精卵は、ここで約40週を健康に発育しつづけなくてはなりません。その途中で死んだり、流れ出てしまったり、早く外に出てしまうと、流早産、死産ということになって、せっかくの妊娠も元も子もなしになってしまいます。
●妊娠は女が主役、男は脇役
妊娠を成立させる関門のうち(1)(2)、(5)〜(9)は女性サイドで(3)(4)は男性。ですが(3)は女性にもかかわりがあります。と言うと男性側の責任はきわめて軽いようですが、上の図を見ると男性側に原因のある不妊も案外多いのですね。不妊の責めはやほり男女両方で負うのがほんとうでしょう。

赤ちゃんがほしいのに出来なかった人へ
貴女もママになれます。

だから不妊の原因は複雑

妊娠のメカニズムがわかり、たいせつな関門が理解されれば、不妊の解決法は悟られると思います。そうです。関門の一つ一つがチェックされればいいのですから。
●不妊の原因となるのは(7)からあとに多いのです
関門のむずかしさは、どれも同じだとお思いですか。入試だって一次と二次とでは一次のほうがむずかしかった、ということがあるように、(1)〜(9)の関門も同じではなく、(1)〜(6)までほ比較的やさしいということが言えます。
時間的な経過を見ても、(1)〜(6)は短時間です。射精された精子が卵管の端に到達するのは、牛だと2分、猿ほ15分、人間はよくわからないのですが、そんなに長い時間ではないと言われています。
受精卵ができて子宮の壁におりてくるまでは約1週間と言われています。
それから着床するわけですが、着床時の受精卵は細胞分裂の結果、非常に複雑な、むずかしい発育をしています。それもそのはず、将来、人間としてのあらゆる器官や組械となる基礎の細胞がつくられつつあるのですから。それだけに少しでも環境の条件が悪いと、すぐ壊れてしまいます。環境の条件は受精卵の側も母体側も最良を求められます。それだけたいせつに扱われる、と考えればいいでしょう。
いったん着床しても、妊娠4カ月ごろまでは目が離せない危うい状態。ここでも、よくない条件があればいつでもご破算にするゾ、という自然淘汰の網が張られているのです。
4カ月を過ぎればまあまあ一安心ですが、こんどは赤ちゃんと母体の栄養、早産防止などの注意をしなければなりません。(8)から出産までの道のりは長いのです。
●女性側の原因は主なものだけでもこんなに
妊娠ほ女性が主役というだけあって、妊娠、出塵には女性の体全体がかかわっているのですね。単に性器だけの問題ではありません。性器の異常は体全体の異常からあらわれますから。
グラフのように、女性不妊の因子は、大きく分けると排卵障害、卵管因子、子宮因子、頸管因子の四つに分けられます。
排卵に原因がある場合 排卵をうんぬんする前に、月経が周期正しく(必ずしも何日ごとに、ということはなく、だいたい28日ぐらいの間隔とか、30日ぐらいの間隔ということでいいので、何日型ときまるものではありません)くるかどうかが第一の問題です。月経が順調に回転するためには、多くのホルモンが規則的に分泌され、またホルモンを受け入れる子宮や膣などの生殖器がこれらのホルモンに正しく反応しなければなりません。
わずかの異常も月経の周期を乱したり、月経をストップさせたりします。
月経と月経とのほぼ中間に排卵が起こるのが普通で、月経は受精した卵子を迎え入れるために準備したベッドが、不要になったために捨てる作業といったらいいでしょうか。
排卵や月経のためにはホルモンがうまく分泌し、働かないといけないのですが、ホルモン異常があるとすべてがうまくゆかなくなります。食欲がなくなったり、反対に食べすぎて太ったり、精神的にイライラ
したり……女性の体はホルモン漬けと言われるほど、あらゆるホルモンでいっぱいですから、ホルモンのちょっとした不調も体の運行に大きな影響があるのです。
ホルモン異常が起こす月経の異常には次のようなものがあります。

・原発性無月経=年ごろになっても(満18才を過ぎても)全然ない。

・続発性無月経=一〜二度あって、その後ない。

・柿発月経=ごくまれにある。

・頻発月経=月に1回と限らず、ちょくちょくある。

・不定周期=まちまちの間隔でやってくる。

・過多月経=量が多い。

・過長月経=1月経持続が7日以上。

・過少月経=量が少ない。

・過短月経=1月経持続が2日以内。

最近の女性は月経異常が多くなったと言われていますが、これはホルモン異常だけでなく、おしゃれと冷房のための体の冷え、薬のアレルギー、食生活も含めた生活リズムのくずれ、たとえば偏食、睡眠不足、運動不足などの影響も大きいと言われています。
普通は排卵があれば(受精しない璧ロ)、その後2週間して月経となるのですが、排卵がなくても月経は起こります。それを無排卵性月経といいます。
正常な人でも初潮から1年くらいの間と、閉経前の1〜2年は卵巣の働きが低下しているために排卵しないことが多いものです。
無排卵性月経は一時的のことが多く、ふだんは排卵があるのにある一時期だけ卵巣が怠けて
無排卵、ということもあります。しかし、ほうっておくと怠け癖がついて問題が起こることもあります。このような無排卵の月経は、前記のような月経異常の形であらわれることが多いので、月経異常の場合は早く医師に相談することがたいせつです。
卵管に原因がある場合不妊の原因としては比較的多いものです。卵管栄ほ卵巣から排出された卵をとり入れ、膨大部は精子と卵子が合体(受精)する場所。そして卵管の中で分割、分化しながら子宮脛に向かって進みます。このように妊娠のプロセスの中で卵管の果たす役割は重要な位置にあります。卵管に何かの障害があると、受精も不可能なら受精卵の輸送もうまくいきません。

それでほどんな障嘗が起こりやすいかというと

(1)卵管炎。ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌などの細菌によって卵管が炎症を起こし、卵管が詰まります。これらの病原菌は流産、分娩、子宮内異物、子宮内操作などによって感染することが多いので、特に人工妊娠中絶が間庖になっています。

(2)卵管槻能の障害。卵管自身が閉鎖しているとか癒着しているとかの器質的な障害がなくても、卵管の機能がうまく働かない場合があります。

たとえば卵管采部が卵子をキャッチしないとか…… この障害は卵管の筋肉運動や繊毛運動がうまくできないためですが、これらの運動は自律神経やホルモンに支配されているので、ストレスなどが原因となる場合もあります。
子宮に原因がある場合 子宮に問題があるときは、受精卵は着床できませんし、着床しても長く滞在できず、流産してしまいます。

(1)子宮の欠損、子宮の先天性奇形と膣欠喝この場合はどうしても妊娠できません。

(2)子宮の発育不全と形の異常。これは比較的多いもので、子宮の大きさが正常(握りこぶしくらい)より小さいもの(子宮脛の長さが6(8)以↑)を子宮発育不全といっています。しかしこ
れだけでは不妊の直接原因にはなりません。むしろ子宮を発育不全にしてしまった女性ホルモンの状態を問題にすべきなのです。形の異常としては子宮後屈症、弓状子宮、双角子宮が問題です。

(3)子宮筋腫。これは文明病とも言われるくらい年々ふえており、女性の3人に1人は筋腫があると言われます。筋腫は良性のシュヨウで、たいしたことがなければ筋腫があるまま妊娠、出産もできますし、筋腫をとり去るだけで簡単に妊娠する場合もあります。
しかし大きくなると、子宮の大半または全部をとらなければならないこともあり、こうなったら妊娠は望めません。
早く気づいて適切な処置をしてもらわなくてはいけません。子宮筋腫の主な症状は蓋痛、過多月経、不妊の三つ。あまり子どもができないので診察を受けたら筋腫があった、ということがよくあります。また、何の症状もあらわれず、大きくなっている場合もあります。

(4)子宮内膜炎。自然流産、人工妊娠中絶、性交による淋団の感染、結核薗の感染などによって、子宮内膜に炎症が起こるものです。慢性化すると不妊の大きな原因となります。

(5)子宮腱癒着症。結核性子宮内膜炎、分娩、流産、人工妊娠中絶後に、まれに子宮脛に癒着が起こることがあります。症状としては無月経、過少月経、月経痛など。

(6)子宮後屈症。昔は1後屈ほ子どもができない」などと言われましたが、現在はそれほど間趨にされていません。ただ、骨盤腹膜炎や子宮内膜症などの結果、後屈になったのであれば、後屈と同時に卵管や卵巣の癒着を起こしやすいので不妊の原因になります。

(7)子宮内膜の機能的な異常。子宮内膜というのほ、卵巣でつくられる卵胞ホルモンによって増殖し、次いで排卵後につくられる黄体ホルモンによって、分泌期内膜という受精卵の着床にぐあいのよい状態になります。






排卵があり、受精し、うまく子宮内に運ばれてきても、子宮内膜の準備がととのっていなければ着床できません。準備がととのっていないということは、ホルモンの障害であったり、子宮内膜の受精卵には対する感受性の問題であったりして、なかなか微妙です。
頸管に原因がある場合 子宮頸管の中に満ちている分泌液(頸管粘液)は、卵巣機能と密接な関係があります。特に排卵が近づくと、多量の頸管粘液が分泌されて、精子が膣から子宮内へ上りやすいようにさせるものです。頸管粘液が少なすぎたりすると、艦内に射精された精子は泳ぎ上ることができず、むなしく討ち死にしてしまいます。もっとこわい場合は、精子免疫といって女性の頸管内で精子を殺してしまうこともあります。
その他の因子 体全体にわたるさまざまな異常によって不妊になる場合もあります。たとえば太りすぎ、やせすぎ、糖尿病、傾性中寺、内分泌異常、肝障害など。これらはその異常をまず泊すことが先決です。また、こうした異常から代謝障害が起こって、栄養障害、貧血、冷え症、便秘などになり、妊娠の成立をますますはばむことになります。
このほか性交因子も不妊の原因となり、それらほ次の三つに大別されます。(1)器質的、機能的原因による性交障害。膣欠損、膣閉琴処女膜の閉鎖、膣ケイレンなどによるものです。(2)不適当な性交の方法。性交の環境、体位その他も不妊に関係ある場合があります。(3)性交のタイミングの験り。排卵期に性交することが少なければ、妊娠の可能性がそれだけ少なくなるのはやむをえません。
最後に、精神神経的な原因による不妊があげられます。これは別に機能的不妊とも呼ばれるもので、精神神経系の異常や環境の変化が、自律神経系の機能をそこなったり、ホルモンの異常をきたしたりするものです。原因がはっきりしないと言われる不妊ほ、大部分これにあては
まるとも言われています。

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