現在大きな社会的問題になっているアレルギー疾患、特にアトピー性疾患と腸について少し述べておくことにします。
アトピー性皮膚炎の患者が近年急激に増えており、当店にも多くのお客様が来店されております。これらの患者さんの多くは、一応現代医学治療を受けてきたが結局は治らず、それから一般の漢方、そして心理療法などいろいろ治療を試み、最後に当店へ見えた方も多く見えます。
 このアトピー性皮膚炎の原因及び治療に対する専門家の方々の意見はまだ統一されておりません。色々な説や療法が出ており、したがって患者さん達に不安と不信の念が起こっているのもやむ得ないことです。これまで多数のアトピー性皮膚炎に悩む患者さんに関して気づいたことは、「大食漢」が多いということです。
 確かにアトピー性皮膚炎の患者さんにはよく食べる人が多いです。小さな子供でも本当に驚く食べる子もいます。
 このように大食漢の為、やはり滞留便が大量に発生し、腸管内で異常発酵や腐敗が続きそのためにされた有毒物やガスのために腸粘膜に異常が起こり、ビランや微細な傷も当然できてくることでしょう。
 その結果消化と吸収も異常になり、蛋白質や澱粉などが最終段階にまで分解されてから吸収されるのではなく、もっと大きな分子たとえば蛋白質やポリぺプチドのような状態のままで体内に吸収されてしまうことになります。
 このような蛋白質やポリペプチドは人体にとっては栄養にはならず、異物(アレルゲン)となりますから、速やかに処理し体外に排除する必要があります。
 そのために抗体ができて、ここに抗原抗体反応が起こるのです。こうしてアトピー性皮膚炎が発症してくるわけです。もし少食を守るなら、たとえアレルゲンとなっているもの、たとえば大豆でも、トーフのようなもので少しぐらい食べても症状は悪くならいのです.
 それはなぜか?大豆蛋白でも、少量ならば、腸内で完全に消化分解され、アミノ酸となって腸壁から吸収されるからアレルゲンとはならないのです。
 ここのところがよく分れば、食物除去法あまり厳格に守らなくてもよいということが納得できるでしょう。大阪大学講師で大阪府八尾市の甲田医院院長甲田光雄先生の病院では「大豆はアレルゲンで食べてはいけない」と禁じられている人が毎日トーフを食べて、アトピーの症状が好転してくるという患者さんが多数おられます。
 米でもそうです。米がアレルゲンでだめだと言われている人にも、玄米を毎日食べさせて、逆にアトピーがよくなってくるのです。これは少食であるからです。
 このように少食を守れば、玄米とトーフを毎日食べても大丈夫であることを、アトピーの患者さん達に知ってほしいのです。
 もちろん、これについては群馬大学におられた川辺志津子先生から次のような研究報告があります。
 即ち、アレルギー疾患を患っている乳児をもつ母親が卵の白身である卵白蛋白を食べた場合、30分後には、母乳中に卵白蛋白が認められ、その母乳を飲ん

だ乳児のアレルギー症状が悪化するというのです。
 ここで問題となるのは、なぜ母親が食べた卵白蛋白が母乳に出てくるのかということです。
 元来、卵の蛋白質は母親の腸管内に入ってから消化分解されてアミノ酸になり、腸壁から吸収されるはずです。それならば母乳中に卵白蛋白が出てくるはずがないわけです。
それにもかかわらず母乳中に卵白蛋白が認められたことは、母親の腸管内に異常があり大きな蛋白質の分子がそのまま腸壁から吸収されてしまったことになります。
 もし、母親の腸粘膜が健全であれば、そのような分子の大きい卵白蛋白は腸壁を通過して母体の中へ入ってこられないはずです。
 それならば母親がたとえ何を食べようとも、母乳は乳幼児にとって安全な栄養となるでしょう。
 問題は母親も腸管粘膜が丈夫でなかったということになります。
 即ち、アレルゲン(犯人)を侵入させないように完全な戸締まりができなかったからです。
 最近、アトピー性皮膚炎の治療法として食物除去法が盛んに行われています。
R a s t法テストで食品のうち何がアレルゲンになっているかを調べ、陽性の食品を、毎日食べるものから除いてゆくという方法があります。
 だいたい、卵、牛乳、大豆が三アレルゲンといわれてきましたが、検査がより精密に行われるようになって、最近は米も麦もだめだと言われる患者さん達が増えてきました。
 当店にも訪れてくる患者さん達の中にも、卵、大豆、牛乳はもちろん米もだめだと言われ、ヒエ、粟を主食にしているとか、ジャガイモが主食だと泣きべそをかいている人も人たちがおります。
 可愛いお子さんが粟(アワ)を食べるのですから、親達が白米ご飯を食べるわけにはいきません。そこで親子一緒に栗やジャガイモを主食にするわけですが、いつまでそれが続くのかと思うと、先が真っ黒になってしまいます。
 そのうち、お父さんが悲鳴をあげてしまい「俺はもう粟を見るのもいやだ」という始末です。そこでやむなくお父さんだけこっそり二階で白米飯を食べることになります。
 こうしてしばらくすると今度はお母さんもお手上げとなってしまいます。そこのことを知ってほしいと思います.
 実際にまた、断食療法を繰り返し実行しながら、玄米少食主義を守って養生している患者さん達の中には、Ig E値が次第に減少し、ついには正常値内に入ってくる者も少なくないことを報告しておきます。
 してみると、これからアトピー性皮膚炎を予防し治療しようとする者は、いかなる食べ方をすれば腸管内がきれいになり、腸粘膜の傷やビランも起こらず、またできた傷やビランも治ってくるかという問題を真剣に考え且つ実行することです。
 即ち、正しい食べ方が問われているのです。ところが現在の栄養学者達でこのような真剣な取り組みをしておられる方が極めて少ないのです。
大半の人は、この食品の栄養素は体内に入って、どのような病気に効くのだろうかとか、どの食品にはどのような栄養が豊富に含まれているかといった「入れる方の研究」にカを入れておられるのです。
 これではアトピー性皮膚炎の予防と治療にはあまり役立たないと考えられます。
 一方現代医学者の中でも、最近、アレルギー性疾患にアトピー性皮膚炎と腸粘膜との異常との関係を調べる研究をしておられる方が出てきました。
 たとえば、順天堂大学小児科の小口学先生らのグループです。小口先生達はアトピー性皮膚炎の患児6人について、上部小腸粘膜を生検カプセルを用いて採取し、その組織像を調べてみました。
 その結果、アトピー性皮膚炎の患児は、皆、小腸の粘膜上皮がビランしており、また絨毛(じゆうもう)の萎縮と陰窩(いんか)の過形成が生じていることが解ったのです。
 これは、大阪大学講師甲田光雄先生が指摘してきた「腸の傷」が証明されたことになります.
 また昭和大学医学部の田角(たずみ)恭子先生も同様の研究をしておられます。
 田角先生の場合は、食物アレルギーの患児の腸粘膜が正常児よりも透過性が亢進しているという事実を確かめる研究です.
 その研究を内容を少し説明しておきます。
まず食物アレルギーの患児36人(男27人、女9人)及び、正常児24人の2つのグループにラムノースとラクツローズという2種類の糖蛋白を与えてみました。
 ラムノースは分子皇が小さいので、腸壁を容易に通過し体内に吸収されてしまいます.
 一方ラクツローズの方は分子量が大きく、腸壁を通過しにくいので、正常な腸壁であれば、あまり吸収されないのです。
 ラムノースもラクツローズ体内では代謝されず、吸収されたものはそのままの結果、お父さんとお母さんがこっそり二階で白米を食べ、子供さんだけが、かわいそうに粟を食べさせられるということになるわけです。
 これが現代版、地獄の家庭です。現在、全国にこのような悲劇の家庭がどんどん増えているのです!!!
 ところがこのような食物除去法でアトピー性皮膚炎が治るかというとそうではないのです。現在、安全だと言われている粟やキビもやがて危険な食品に変わってくるということをよく知らねばなりません。それはなぜか?
 粟やキビには蛋白質が含まれております。いやそれは米の中にも含まれている蛋白質よりも多いのです。
 もし、腸壁に異常があり、腸粘膜から蛋白質が吸収されるような状態では、粟やキビの蛋白質もそのまま吸収されることになります。
 これらの蛋白質は人体にとって異物ですから、これを処理、排除する為、早晩抗体ができてくるはずです。
そうなれば、もはや粟もキビも危険な食品となってしまうのです。
 要するに、腸管内の異常をそのままにしておいて卵が悪い、大豆が悪いなどと犯人ばかり調べていてもだめだということです。
この世において犯人は無数におるがごとく、アレルゲンとなり得るものもまた、浜の砂のごとくあるわけです。したがって、それらの犯人だけをいくら調べても限りがありません.それよりもまず戸締まりをしっかりして、犯人が中へ侵入できないようにすることが大切ではないでしょうか。
 現代医学の盲点の一つはここにあると強調したいのです。外部環境の整備ももちろん大事ですが、内部環境の浄化に断食及び少食(正食)が大きな役割を果たすのです。断食で腸管内に停滞していた宿便も処理排泄されるとともに、胃や腸管にできていた傷やビランなども治ります。その結果健全な粘膜に復帰することになり、食物の消化と吸収が正常に行われるようになれば、厄介なアトピー性皮膚炎も根治に向かうことができるのです。
 戸縮まりが完全に出来るようになれば犯人(アレルゲン)は中へ侵入できなくなりますから、したがって犯人を捕捉すべき警備員(抗体)を増員配置する必要がなくなってきます。
 即ち血中の抗体Ig Eなども減少してくることが検査で確認できるわけです。
 だいたいにおいてIgEが増えている乳児はアレルギー体質でアトピー性皮膚炎にかかる率が非常に高くなるという調査報告が出ております。
 しかし、少食により、犯人(アレルゲン)が体内に侵入できない健全な胃腸になり、したがって警備員(抗体)を増員する必要もなくなり、IgEが正常値まで減ってくると、あなたはアレルギー体質ではありませんと言われることになります.
 このようにして、少食、浄腸はアレルギー体質をも改善する、決め手になる尿の中に排出されてしまいます。
 ところで、ラムノースとラクツローズを与えられた上記2のグループの尿を調べ、ラムノースとラクツローズの排泄量が両グループの間にどのような違いがあるかを比較してみました。
その結果、食物アレルギーの患児達ではラクツローズの排泄量が正常児のものより多かったのです。
 つまり、正常な腸壁からは吸収されにくい分子量の大きなラクツローズが、食物アレルギーの患者では容易に吸収されているのです。
 要するに、食物アレルギーの患者は腸粘膜の透過性が克進しているというわけです。これは甲田光雄先生が指摘している「腸壁の傷」を証明するものであります.
 このように、アレルギー性疾患の根本的対策は腸粘膜の異常を治すことに重点を置かねばならないことがはっきりしてきたのです。
 したがって、飽食・美食が続いている日本国民にとって、食生活の反省がいま問われているのであります.それがつまりアレルギー性疾患という姿で天からの警告が現れているというわけです.
 この警告を謙虚に受け入れて、早急に、食生活を改めない限り、アレルギー疾患はますます増え続け、国民全体の大問題になってくるだろうと予想されるのです.
 これは単にアレルギー病だけでなく、糖尿病やガン、その他の難病が続出するという姿でも現れるでしょう.
 いまこそ本当に少食(正食)の実行が問われていることをよく理解していただきたいと思います。

 中野薬房ではアトピー治療を初めて10年間延べ1000近い患者さんを見てきました。その中で、この療法を忠実に実行された方は、かなりの割合で素晴らしくよくなっています。そして、再発は非常に少ないのです。時間は掛かりますが、このつらい地獄から戻ってこられるのです。

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